このカテゴリでは、旅行、生活、留学などでスペインに初めて行く人を対象に、まず知っておいた方がいい話を書いていきます。
そして今回のサブタイトルですが…
~あれ、時計おかしくなったかな?~
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中央ヨーロッパ時間帯
まずそもそもですが、世界中の国々はイギリスの世界標準時からどのぐらい時間がずれているかを表す「タイムゾーン」のいずれかに属しています。たとえば日本の場合は世界標準時から+9時間のタイムゾーン。つまり、ロンドンが午前0時のときに東京は9時間進んだ午前9時なわけです。
では、スペインのタイムゾーンはどうなっているかというと、中央ヨーロッパ時間帯(Central European Time - CET)といって、これは世界標準時から+1時間。そして、このタイムゾーンなんですが、とにかく横に長い。これは言葉で説明するよりも地図を見てもらうのが早いんですが、以下のようにエンジ色の部分、つまり東はポーランドやハンガリーあたりから、ドイツ、イタリア、フランスまでも含みつつ、その一番西の端にスペインがあるんです。
しかも、「世界標準時から+1時間」でしたよね?地図をもう一度見てみると、その世界標準時のイギリスよりもスペインの方が西にあり…つまり、逆転現象が起きてしまっているんです。
さて、では次に「太陽の位置」について考えてみます。ロンドンのお昼の12時、太陽はどこにいるでしょうか?むかし理科の授業で習ったかと思いますが、ロンドンの真上です。問題なのは、そのときのスペインの時刻。このときすでにスペインの首都マドリードは13時。
ではマドリードの上空に太陽がくる、いわゆる「南中」の時間はというと日によって誤差はあるものの、だいたい13時00分~13時30分ぐらい。これが、サマータイムに切り替わる3月の最終日曜から10月の最終日曜まではさらに1時間ズレて、最大で14時30分ぐらいになるわけです。
南中時刻がズレるということは日の出・日の入りもズレるわけで、たとえば1年のうちで「一番日の出が遅い1月上旬」と「一番日の入りが遅い7月上旬の日の入り」を比較してみると以下の通りです。
- 1月上旬の日の出
- 日本:7 時 7 分
- スペイン:8 時 38 分
- 7月上旬の日の入り
- 日本:19 時 16 分
- スペイン(サマータイム):21 時 49 分
※日本は神戸、スペインはマドリードの時間
日の出もそうですが、日の入りの方が驚きですよね。夏は、21時過ぎまで陽が落ちないという…。
日本の時間感覚とのズレ
ここまでの話で、スペインの南中時刻が14時頃になるというのはお分りいただけたかともいます。ただ、これだけだと「へぇ~」で終わってしまうのですが、太陽が日本のそれ(日本の場合は12時前後が南中時刻)と2時間ズレているということで、お昼ご飯の時間も2時間ズレることになります。つまり、14時過ぎ。夕飯も、日本の家庭だと19時~20時が一般的ですが、スペインは21時~22時。
つまり、すべてが2時間ズレになっていくので、スペインで過ごす場合は常に2時間プラスで考えて行動すると日本と同じ感覚になるのです。たとえば日本から観光で行って「今日の午後は長距離バスで次の目的地に移動するから、ちょっと早いけど11時頃にお昼ご飯食べちゃおう」など考えたとしましょう。すると、それはすなわち日本で午前9時にランチやっているお店を探すのに等しい行為なので、当然どのレストランもまだランチどころか営業すら開始していないということになるのです。もちろん、カフェやファストフード店など朝から開いている店もあるので、どこかしら見つかりはしますが、レストランはまず開いていません。
となると、昼食・夕食と同様に朝食も遅いのかという疑問が出てきます。それに関しては、このあとお話していきます。
朝の通勤も2時間遅いの?
スペインの生活時間が日本の感覚よりも2時間遅い、ということで朝の出勤も2時間遅い11時なの?というと、必ずしもそうではありません。職種や季節、勤務シフトなどによっても変わりますが、だいたい以下の2つのパターンが多いようです。
※時間はイメージしやすいようにあくまで一例として挙げています
- パターンA:Jornada Continua(ホルナーダ・コンティヌア)
- 出社:8時
- 休憩:11時~11時30分
- 退社:15時30分
- パターンB:Jornada Partida(ホルナーダ・パルティーダ)
- 出社:9時
- 休憩:14時~17時
- 退社:20時
つまり、日本とたいして変わらないか、場合によっては8時出社など少し早め。では、先ほどひとつの前のトピックで疑問として湧いてきた朝食のタイミングはどうなのでしょうか?
食事のタイミングは?
結論からすると、スペインは日本の「1日3食」ではなく言ってみれば「1日5食」になります。これも、地域や家庭によってその食事の呼び方や時間にバラつきはあるものの、一例として挙げるとこんな感じです。
- 7時[desayuno(デサジューノ)]
- 朝起きてcafé(カフェ)とmagdalena(マグダレーナ:マドレーヌのようなスポンジケーキ)を食べる。
- 11時[almuerzo(アルムエルソ)]
- 勤務先の近所のカフェでbocadillo(ボカディージョ:スペイン風のサンドイッチ)を食べる。
- 15時[comida(コミーダ)]
- 退勤して帰る途中、小さなレストランなどでmenú del día(メヌー・デル・ディーア:定食のようなランチセット)を食べる。
- 18時[merienda(メリエンダ)]
- 帰宅して軽くお昼寝したあと起きて、churros(チュロス:日本でも最近おなじみの揚げ菓子)をchocolate(チョコラーテ:チョコレートドリンク)に浸して食べる。
- 21時[cena(セナ)]
- 友人や家族たちと近所のバルでTapas(タパス)をつまみながら、軽く1杯。
だいたいこんな感じで、あとは地域によって食べるものに特色があったりします。
たとえば、中部のExtremadura(エストゥレマドゥーラ)州なら、almuerzoにmigas(ミガス:パンの耳で作ったガーリック・チャーハン的なもの)だったり、東部のValencia(バレンシア)州ならmeriendaにFalton(ファルトン:柔らかめのパン)をHorchata(オルチャータ:アーモンドミルク的な飲み物)に浸して食べたり。Vasco(バスコ:正確にはPaís Vasco)州など北部に行くと、cenaではPintxos(ピンチョス)をつまんだり。
さて、そうなると「こんなに食べていて太ったりしないの?」という疑問も出てきます。もちろん、日本に比べるとスペインの方が肥満率は高いのですが、食べる量とタイミングの関係で、それが若干緩和されているように思います。
日本だと割りと夜にたくさん食べるイメージですが、スペインではお昼のcomidaが一番食べる食事です。土日祝日などは、家族でちょっと郊外の美味しいレストランに行ってcomidaをめちゃくちゃたくさん食べ、夜は簡単なサラダぐらいで済ませたりすることもあります(というか、実際に経験すると分かりますが、夕方以降、何も口にしたくないぐらいcomidaでたくさん食べたりすることもあります)。
最後に
最後にサブタイトルの伏線回収ですが、ここまで見てきたようにとにかく日本と同じ時間感覚で行動していると、時計が狂っているのか、自分がおかしくなったのか、はたまた時差ボケにやられているのか…何が正解だか分からなくなります。まずは、1日5食の食事に慣れてみるといいかもしれません。旅行であれば…
- 8時にホテルの朝食
- 11時にお散歩途中の休憩でチュロスなどつまむ
- 14時にレストランでガッツリ目の昼食
- 18時にお散歩途中のカフェでケーキ
- 21時にバルでタパスやピンチョスをつまみながら軽く一杯
など、あくまで一例ですが、そんな感じで食事から生活リズムをスペインシフトしていってみるのもいいかもしれません。
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