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【スペイン育児】スペインで育児をしてみての感想

このカテゴリでは、スペインで育児をしてみた感想や気付きなどをまとめていく予定です。といっても、滞在したのはたかだか1ヵ月ですので、実際に住んでいる方々ほど詳細で多岐にわたる情報はありません。あくまで、旅行と在住の中間ぐらいのレベルでスペインでの子育て事情であったり、感じたことなどを書いてみたいと思います。

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スペインで感じた日本との一番大きな違い

まず一番の違いは、「人」と「設備」だと思います。スペインは子ども連れの家族に対して、どこに行っても人々が親切で安心して出かけられるという印象があります。一方で、設備はやはり日本の方が進んでいるというか本当によく考えられていて、たとえば親ひとりが子供をいっぺんに数人連れて出かけても、何ひとつ不自由することなく帰ってくることができるほどです。

ここからは、それらを比較しつつ、どちらが良い悪いということではなく、あくまで「違い」としてスペインと日本を比較しながら、私が感じたスペインでの育児について書いてみたいと思います。一応、このブログはスペインのブログですので、スペインに着目してその良いところ、イマイチなところを考えてみたいと思います。

スペインの良いところ

良いところは、すでに書いたとおり、「人」です。スペイン滞在中は、毎日どこかに出掛けていたわけですが、とにかく街に出るとたくさんの人が子供に笑顔を向けてくれます。エレベーターで一緒になったご年配の夫婦、AVE(スペインの新幹線)で通路を挟んで隣の席になったお姉さん、スーパーのレジバイトのこわもてお兄さん。もちろん、レストランやカフェでも、隣の席に座ったお客さんがほぼ必ずと言っていいほど、うちの子供に微笑みかけて声をかけてくれました。

日本に帰ってきて一番強く感じたのはこの違いで、日本でももちろん声をかけられることはあるのですが、圧倒的に少ない印象です。日本ではマスクをしている人が多いのも原因のひとつかもしれませんが(スペインでは街中でも公共交通機関でもマスクをしている人はほぼいない)、子供が近くにいても表情ひとつ変えず、無関心という感じの人が多いように思います。もちろん、悪い意味での無関心ではなく、単に無用なコミュニケーションを避けようとしている風なところがあるのかもしれません。そう考えると、私が普段子供を連れている東京・横浜だけではなく、もう少し田舎なところに行けばまた変わるのかもしれませんが。

また、この「人々がオープン」なことに加えて、レストランやカフェも文字通りオープンです。どういうことかというと、ほとんどのレストランやカフェにはテラスが付いているので、子供が多少クズっていても気にすることなく食事ができますし、むしろ外の空気で心地よくて子供もすぐに寝てしまいます。スペインの飲食店では店内が禁煙なので、喫煙者がテラスに座るため、そのあたりだけ注意が必要ですが。

さらに、子供に対して寛容なのもスペインの特徴かもしれません。公共の場で子供がぐずり出した時に、周囲の皆であやしてくれるというのもありますし、オムツ替えの場所についても日本ほど気を遣わずにすむのがいいところです。日本だと多目的トイレなどのオムツ替えスペースを探すか、車に連れ帰ってオムツを替える家族が多いかと思いますが、スペインでは公園や駅のベンチなどオープンな場でも普通にオムツ替えをしています。驚くべきは、カフェで「トイレにオムツ替えスペースはありますか?」と聞いたところ、ほとんどのお店で「他のお客さんがいない、その辺りのソファで替えちゃっていいよ」と言われました。日本だと衛生的にちょっと大丈夫なのかなと心配になってしまうところですが、スペインではあまり気にしないようです。

どこに行っても必ず子供に話しかけてくれる人がいます(セゴビア:2024年)

スペインのイマイチなところ

そしてイマイチなところは、これもすでに書いたとおり「設備」が一番大きいです。日本では多くのレストランやカフェにオムツ替えスペースがありますが、スペインでは大きくて新しいお店にしかない印象です。あったとしても、スペインあるあるですが、壊れていたりして使えないことも多いです。駅でも今日の日本では大体の駅にオムツ替えの台が付いたトイレがありますが、スペインではまだまだ少ないです。オムツ替えの台も、主に女性用のトイレにしかない場合が多く、このあたりも日本の方が進んでいる印象を受けます。

それから、道もベビーカーに優しくない作りになっています。大きな都市の旧市街地は、ほとんどが数百年前の細い道のままで、しかもアスファルトではなく石畳のゴツゴツとした道路です。歩道もあるにはありますが、極端に細くなっていたりする場所もあって、およそベビーカーで通れる幅ではないところもあります。それもあってか、スペインのベビーカーは日本のものと比べてタイヤが大きくて太いものが目立ちます。まぁ、旧市街地はそもそもベビーカーなんてできる前の時代のものですので、当然と言えば当然なんですが。

新市街と旧市街については、過去の記事でも書いていますので参考にしてください。

esp.pianoslap.blog

ベビーカーといえば、地下鉄の駅のエレベーターについても、日本とは事情が違います。日本の場合、今ではほとんどの駅にあるバリアフリールートも、スペインではまだ十分に確保されているとはいえません。特に大都市、マドリードではそもそもエレベーターが全くない地下鉄駅も珍しくなく、そうした場合はひとつ先の駅まで行くしかないという場合もありました。ベビーカーだけではなく、車椅子の方々もかなり困っていると思うのですが、そもそも車社会なのでそこまで需要がないのかもしれません。確かに、地下鉄に乗っていると子供連れの家族は珍しく、オフィスワーカーや学生などが乗客の中心です。私自身が、日本でスペイン人観光客のガイド・ボランティアをやっているときにいつも彼らに驚かれるのですが、スペインでは中学生以下の子供がひとりで地下鉄に乗るということはあり得ません。つまり、日本のように私立の小学校や塾の行き帰りで子供たちだけで公共交通機関に乗っている姿はありません。そうしたことからも、小さい子供がいる家族は習慣として地下鉄などよりもバスや路面電車、自家用車などで移動するのが普通なのでしょう。

道がゴツゴツしていて歩道も狭いです(セゴビア:2024年)

まとめ

というわけで、スペインと日本での育児に関する違いについて書いてきました。スペインは「人」の面ではとても子育てがしやすく、逆に「設備」の面ではまだまだ日本に及ばないところがあるというのが、一番の違いです。これは、逆に考えてみると、「設備」が整っていないからこそ、スペインでは人々がお互いに温かく優しく助けあう風潮につながっているのかもしれません。

そう考えると、日本の場合は「設備」が整いすぎているがゆえに、人々がお互いに無関心になっているところもあるのかもしれません。ただ、それを差し引いて考えても、日本の場合は少し人々の心が子育て家族に対して冷たいなと思うことが度々あります。子供を連れて出かけるようになって改めて気がつくようになりましたが、健常者なのにお年寄りやベビーカーに混じって駅のエレベーターに平然と並んでいたり、ベビーカーが乗ってきたにも関わらず、電車のベビーカースペースに立ってスマホに熱中している人をちらほら見かけます。

どこの国で子育てをするにしても、必ず一長一短があるものですが、日本の場合はもう少し子育て家族に対して優しくなって欲しいなと思います。今回スペインでの育児を通して、それが一番感じたことでもあり、私自身もそうありたいなと改めて思いました。

また追々、続編の記事でさらに詳しいスペインの子育て事情について書いてみたいと思います。